Published on

高額購入を正当化できる「半投半住」は本当に存在するのかシュミレーションしてみた

Authors

日経で「億ションに住む、それが投資 海外マネーも流入」という記事があり、「半投半住」という言葉もチラホラ聞くようになりましたが、そんなうまい話があるのかと眉唾でしたので、検証してみました。

結論としては、たしかに投資総額にレバレッジがかかる分、価格上昇率次第では、高額物件を保有して住む方が、同じ価格上昇率の低額物件よりアウトパフォームする可能性がありました。しかし住む期間は収益損失になる額が大きい分、相当高い価格上昇が起きた時に限るよ、というある意味当然の結果になりました。

高額購入、低額購入、高額賃貸、低額賃貸の4パターンに分けて検証していきます。

前提

今回の私のシュミレーションでおそらく、一般論的なシュミレーションと異なるであろう点は、どのシナリオでも家計は支払い余力が等しくものとしたことかと思います。そして、住宅ローンに回らない分は6%の利回りで全額を積立投資するものとしています。

なぜなら、現実では選んだ物件が高額か低額のどちらであろうとも、その家計の収入は変わらないわけで、安い住居費を選べばその分より多くの積立投資に回せるはずであり、そうすべきです。また、余剰資金が積立投資せず寝かせてしまっては、住居費が高額の方が優れたパフォーマンスが出たとしても、それは単に動かしてる資本が大きいだけでは、というシュミレーションへの疑義も解消されます。

今回は毎月50万円を住居費又は投資に捻出できる家計が、以下の4パターンを選んだ場合を検討していきます。

  • 高額購入(45万ローン/5万積立、不動産価格15494万円)
  • 低額購入(30万ローン/20万積立、不動産価格10330万円)
  • 高額賃貸(40万賃貸/10万積立)
  • 低額賃貸(25万賃貸/25万積立)

また、等しい条件にするために管理費率は住宅ローンの11%、住宅ローン利率は0.475%にしています。売却は10年後にしました。

結論

実際のシミュレーション結果の画像の前に、先に結果のハイライトです。

  • 10年後売却の高額購入と低額購入の比較では、高額購入がアウトパフォームするには2割以上の価格上昇が必要。このアウトパフォーム分が高額購入を投資観点で正当化できる「半投半住」の正体。2割価格が上昇しないと低額購入をアンダーパフォームするのは、住む間の収益損失が大きいため。
  • 20年後売却では更に悪化して、不動産価格が2倍くらいにならないとアウトパフォームしなくなる。これは低額購入の積立投資が大きな複利効果となっているため。半投半住ならば5〜15年後の売却が妥当そう。
  • 低額の方は価格下落耐性が高い。低額購入と低額賃貸の比較では、損益分岐点は不動産価格の下落率約20%。
  • 高額賃貸は低額賃貸と比較すると当然パフォーマンスが悪く、購入と比較してもよほど不動産価格の下落を見込まない限り、最も期待値が悪い。つまるところこれは高額に限らず、賃貸だけ払っていて積立で資産形成ができていない家計は最も損しているといえる。

個人的には日本は金利を上げれず、現実的になってきた「もしトラ」で円高を要求されても、金利は上げれないのでインフレを起こし続けるやり方で日本は競争力やGDP比債務の調整をしていくと思うので、不動産の価値が信じれなくともインフレは継続するという見立てです。なので(高額)購入は案外検討できるな、というところです。しかし物件価格か金利負担が大きく悪化すると、家計が一気に悪化するリスクを含んでいるので、あまりにもハイリスク・ハイリターンすぎます。もし本来ローン組む必要がないほどの富裕層ならば、債務超過リスクを心配せずこういったハイレバ投資が躊躇なくできるので、「富める者はますます富み」(しかも贅沢に住みながら!)の構図を垣間見てしまった気がします。

シミュレーション結果の画像はこちら

Hedging Rate Hikes Strategies