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Author:小林慶一郎

Title:財政破綻後 危機のシナリオ分析

Date:日曜日 8月 26, 2018, 74 highlights

@16
破綻が起きれば甚大な社会的コストが発生するから、仮に起きる確率が非常に小さいものであっても、破綻への政策対応を事前に考えることは、政策論としての意義は大きい。
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@26
わが国で顕著な傾向として、「『縁起でもないこと』は口にしない」という傾向がオープンな場での政策論争のあり方を特徴づけている。
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@50
国民は貨幣を退蔵する傾向が強いのでインフレにはなりにくい。しかし、景気が回復して人々がお金を使う時代になっても日銀が国債を買い続ければ貨幣が増えすぎてインフレが止まらなくなる。
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@61
景気が良くなり、投資家が企業への投資を増やすようになれば、国債への投資が減り、結果的に財政破綻のトリガーが引かれる可能性はある。
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@224
縮減する人口に応じた社会のあり方を探求していくべきである。換言すれば、いかにうまく「ダウンサイジング」するかという発想
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@547
高齢者に負担を受け入れてもらう努力をすることを期待するしかないが、選挙での敗北のリスクを冒してまで、そのような説得を行うことを、はたして政治家に期待できるであろうか。
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@588
財政破綻=国家の消滅というのであれば財政破綻はない。
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@606
成長実現ケース」においても2020年度で 10・8兆円の赤字が残る。黒字に転じるのは2027年度以降となる。
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@648
筆者らを含め構造改革を唱える論者は良い均衡の存在に懐疑的だ。むしろ、現状=悪い均衡を日本経済の実力と捉える。
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@656
わが国において 10 年後に債務残高がGDP(国内総生産)の3倍になる確率は 24%余りであるが、他国はほぼゼロにとどまる。 50 年後に債務残高が対GDP比400%に至る確率も、わが国が 65%と突出している。
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@688
成長に代えてインフレによって財政再建が実現可能として注目を集めたのが「物価の財政理論」(Fiscal Theory of Price Level:FTPL)である。
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@735
実質的に政府と中央銀行は一体化しているともいえる。  これを企業にたとえると、政府が親会社で、中央銀行が子会社ということになる。
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@777
各投資家からすれば、自身が国債を信認しているか否かではなく、他の投資家の動向に応じて国債の購入を決めればよい。
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@812
財政赤字で生まれた国債を国内で安定的に消化できてきたのは、国内で投資がまったく盛り上がらなかったためである。
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@922
財政危機は「国債の未達」というかたちで始まるだろう。
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@947
そもそも、わが国で財政再建が進まないのは政府内で政策決定が縦割りであること、利害関係者らは財政赤字の削減自体には賛成しても自らの権益に関わる削減に反対する「総論賛成・各論反対」が横行しやすいことにある。
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@951
国際通貨基金(IMF)の管理下に置かれるというシナリオもある。
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@963
ギリシャを含めて、こうした国々の国債は海外の投資家によって多く保有されてきた。割り切って考えれば、デフォルトは海外投資家が割を食うかたちになる。
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@971
皮肉なことに「国債は国民自身への借金にすぎない」(内国債である)という安心感は危機時に際しては、危機を増幅させる(
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@988
スウェーデンは深刻な財政・金融危機に陥った。財政再建の努力もさりながら、自国通貨が切り下がったことで国際競争力がV字回復したのが、早期に危機が収束した理由に挙げられる。アジア通貨危機後の韓国でもウォンの下落で韓国企業は輸出ドライブをかけることができ、韓国経済の復興につながった。
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@992
円安は思いがけない利益も生むかもしれない。政府の外国為替特別会計は為替介入などの結果、外貨建て証券・預金を多く保有している。年間の運用収入は2兆円余りに上る。
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@995
小黒=小林(2011)は財政危機へのプランBとして、いまのうちに政府は海外資産を多く保有しておくことを提言している。
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@1017
一部の富裕層だけを狙い撃ちすることには無理がある。彼らの所得や資産が海外に流出しては元も子もない。そのため消費税を含む大衆増税は不可避かもれしれない。
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@1043
夕張市の例から分かるように国の財政破綻とは究極的には国民自身の生活の破綻なのである。
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@1138
金利が正常化するなかで、日銀が市場金利との比較で、「超過準備」の付利を適切な水準まで引き上げずに抑制する場合、統合政府で見ると、それは預金課税を行っているのと実質的に同等となる。
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@1156
経済学の重要なメッセージは、「There is no such thing as a free lunch.」(世の中にただのランチなどない)
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@1350
ひとたび付利が2%に上昇すれば国債の受取利息と超過準備に対する利払いの差だけで6兆円近くの赤字が発生する。日銀の資本は1年半で枯渇し、債務超過に陥ってしまう。
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@1364
海外ではチェコ中央銀行が一時的(1990年代~2015年)に債務超過に陥ったが問題が顕在化していないケースもあり、日銀が一時的に債務超過に陥っても本質的な問題が発生するとは断定できない。
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@1385
日銀は直接責任を問われる実際の物価上昇の抑制か、財政の救済か、二者択一を迫られる。
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@1405
日銀は密かに異次元緩和を縮小する「ステレス・エグジット」を進めている(
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@1432
日本の長期金利のみを無理に低い水準に抑制しようとすれば、米国などとの金利ギャップが拡大し、高い利回りを求めてマネーが国外に流出するため、円安が進行するだろう。
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@1516
かつて東日本大震災の際に、日銀が国債の直接引き受けを行うかもしれないという話が出たとたん、金利が一時的に急騰(国債価格が下落)したことがある。
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@1556
すなわち、「打ち出の小槌」は存在せず、痛みを伴わずに財政再建できるという、「魔法」の理論はないのである。
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@1698
技術進歩により新たに臨床適用された医薬品・医療機器は高価になりがちであり、先進諸国では医療費全体を毎年1%以上押し上げているといわれている。
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@1745
単位人口当たりの病院数は諸外国と比べて多い。また、高額医療機器の設置数も突出して多い
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@1752
都道府県間で1人当たり医療費に大きな格差がある
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@1796
もし日本銀行が国債を買えば国の借金が消えるということが正しいのであれば、①政府が国債発行して国民一人ひとりに1億円配っても日銀が国債を買うのであれば政府の借金は増えない、あるいは②日銀に国債を買ってもらった資金で日本政府が世界中の株、不動産を買い占めることができる、ということになるが、本当にそんなことができると思うか?」
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@1800
本邦対外資産998兆円のうち中央銀行および一般政府に所有権があるといえるのは外貨準備143兆円にほぼ限定され、残りの大半は民間企業や個人に帰属する財産である。しかも、対外債務を差し引くと中央銀行および一般政府の純債権は 33 兆円にすぎない。
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@1836
民間病院経営者は資金調達するときに銀行から連帯保証を強いられている。病院が赤字経営になり借入金返済が困難になったとみなせば、銀行は民間病院経営者に連帯保証の責任履行を求めてくること必至である。保有国債の価格暴落で自己資本を毀損した銀行には構造赤字に陥った病院を支援する余裕などないからである。
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@1865
給与が手取りベースで激減することを幹部職員やその家族が素直に我慢するとは思われない。財政難から国立大学をはじめとする高等教育機関が劣化するため、子どもの教育のためにも富裕層の海外志向が高まる。その結果、大企業本社が幹部職員と一緒に海外移転するようになれば、社会保険料収入の減少がもたらされることになる。
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@1892
・初期医療であるプライマリーケアを受診することが困難になった結果、重症になってから医療機関に駆け込む患者が増えている。しかも、駆け込んだ医療機関で治療を受けられるとは限らない。
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@1906
人工透析患者は週3回透析治療を受けることができなければ命にかかわる。実際、1991年にソ連が崩壊した際、透析医療がストップしたため2ヵ月間で人工透析患者のほとんどが死亡した(正確なデータは不明)とのことである。
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@1921
新しい制度を一言で表現すると「配給制」である。
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@1922
日本の医療界と政治家はしばしば「世界に冠たる皆保険」と自画自賛することを繰り返してきた。
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@1926
海外の研究者たちから「赤字国債に依存している日本の皆保険は持続性がない」との指摘を受けるようになった。
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@1929
わが国の場合、費用対効果を精査することなく、有効性が認められた医療をすべて保険の給付対象にする
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@2065
ジニ係数には、金融資産保有額を考慮しておらず年金や医療・介護のコスト負担がストック面から不公平になっていても計測できない
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@2096
日本の医療保険制度は、医療で格差が発生することを制度上一切認めないという考え方のもと、国が決めた給付と負担のバランスを全国民に一律適用するという特色がある。
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@2111
高価になりがちな新規医薬品・医療機器を保険適用開始するときに、まずオプション保険の対象とすることが考えられる。
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@2164
対処をあらかじめ「財政ルール」として定めることだ。このことは財政赤字に対する国民のコスト意識を喚起するほか、市場からの国債への信認を確保することにもつながるだろう。
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@2203
彼らの試算によれば、社会保障制度は現状維持したうえで将来的に公的債務の対GDP比率が 60%で安定することを前提にすると、消費税率は恒久的に 30%を上回る。
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@2276
結局、経済政策であれ増税であれ、「当事者」の推計には信頼が置かれにくい。試算への信認を得るには客観性を担保する必要がある。たとえば英国では「財政責任庁」(OBR:Office for Budget Responsibility、2010年設立)という(人事を含めて)独立した組織(「独立財政機関」)が財政・経済の推計を行ってきた。
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@2291
OECD(経済協力開発機構)諸国のうち独立財政機関を設置した国の数は2014年で 20 を超え、過去 10 年間で3倍になっている。
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@2325
政策によって理念が実現されたかどうかには必ずしも関心が払われていない。政策の効果は検証の「結果」として導かれるよりも、「効果はあるに違いない」という楽観的な観測と希望のもとで「前提」となって議論されてきた感がある。政策の理念が正しければ、その結果は問わないのも政策現場の伝統的なスタンスであったことも否めない。
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@2365
仮に健康指導を受けた人の医療費が低かったとしても、健康指導を受けるような人はもともと健康に対する意識が高く、その結果として医療費が抑制されている可能性がある。
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@2369
外国で進められているのが「実験的手法」の活用だ。
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@2370
政策を受ける人と受けない人をランダムに選び、その後の効果を測定する方法である。
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@2440
公共部門に競争原理は馴染まないというのは誤りである。たとえば欧米諸国では医療など社会サービス提供の効率化のため市場の競争原理を用いる試みがある。
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@2548
最適課税論の観点からいえば、消費税のメリットは税率の一律性ではなく、仕入れ税額控除を通じて制度的に生産効率性を担保していることにある。実際、税収の比重を所得課税から消費課税にシフトしたほうが成長率は高まるという実証結果が知られている(
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@2603
介護施設などの食費および居住費に対する介護保険の補足給付の資格要件として(市町村民税非課税のほか)預貯金などが一定額以下であることが加わった。もっとも、預貯金などは自己申告に基づく。
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@2612
人為的に金利を低める(たとえば、日銀が超過準備預金のマイナス金利を続ける)ならば、その効果は金融課税とさして変わらない。「暗黙裡」の税ではなく、明示的な税のかたちをとるほうが政策の「透明性」にも適っていよう。
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@2616
いまだ利子所得は対象になっていない。仮に危険投資にかかる損益が安全資産である利子所得と損益通算できるようになれば、投資家にとってリスクの軽減につながる。結果、「貯蓄から投資」が進み、株式などのリスク投資が喚起されることも期待できる。
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@2637
一定の資産や収入のある高齢者については、これらを生活費にあてる自助が求められる。いったんすべての資産を使い切ってしまうなら、生活保護の対象になる。
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@2762
市場関係者が想定するように、対外純債務国になったときに危機が顕在化して財政破綻が起きるならば、日本で財政破綻が起きるまでにまだ数十年もの時間的余裕がある。
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@2785
実現の確率は非常に小さくても、将来の不確実性が、現在において人々の行動を変えることによって、現時点の消費や投資が委縮する、と考えることができる。これが将来のテールリスクが現在の経済を悪化させるメカニズムである。
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@2841
公的債務の累増によって人々が「財政テールリスクがだんだん大きくなっている」と考えるために、経済成長率が低迷する、という仮説である。
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@2873
成長によって税収が増えてきたら財政再建に着手すればよい」という考え方であった。政府債務が成長阻害の要因であるとすれば、当然、このような考え方は成り立たない。
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@2924
公的債務の価値をインフレによって十分に減価させて持続可能なレベルまで落とすためには、物価は3倍以上になることが必要だからである(
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@2926
それに対し、財政破綻させずに、消費税を 30%上げるという財政再建策を実行したとしたら、物価は1・3倍になるだけである。
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@2960
政策決定の時点とその結果が実現する時点までの間に、世代を超えるほどの超長期の時間経過が横たわっているために、民主主義のシステムでは、適切な意思決定ができないのである。
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@3038
起きる事象の確率分布すらわからない不確実性のことをナイトの不確実性という。
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@3075
世代間協調問題を解決するため、将来世代の利益を代表する行政機関などの組織すなわち「仮想将来世代」を創設すべきだという提案
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@3115
ドメイン投票法(未成年の子どもに投票権を与え、その投票権を親が代理行使する制度)はその有効性について疑問を呈する実験結果もあるものの、将来世代の利益に重心を置く政治が実現しやすくなると期待される。
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@3181
彼らは住民討論をしているときに、「現代人としての現実の自己」と「将来世代としての仮想的な自己」が心の中でコンフリクトを起こしていたのではなく、現実の自己と将来世代としての自己との両方を俯瞰して眺め、両者を調停する自己(いわば「仮想将来人」としての自己)を発見したという。
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