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Author:サイモン・シン、青木薫

Title:暗号解読(下)(新潮文庫)

Date:金曜日 11月 16, 2018, 30 highlights

@227
ハワード・コナー少将は、「ナヴァホ兵がいなかったら、海兵隊は硫黄島を占領できなかっただろう」
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@251
ナヴァホ暗号は歴史上解読されなかったきわめて 稀 な暗号の一つ
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@374
イギリスが生んだ万能の天才トマス・ヤングである。一七七三年、サマセット州ミルヴァートンに生まれたヤングは、二歳にしてすらすらと本が読めた。十四歳になるころには、ギリシャ語、ラテン語、フランス語、イタリア語、ヘブライ語、カルデア語、シリア語、サマリア語、アラビア語、ペルシャ語、トルコ語、エチオピア語を学び終え、
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@1120
NSAは世界最大のコンピューター資源をもっているから、必要とあればすぐにでもメッセージを解読することができた。ファイステルの金星暗号を五十六ビットに制限したバージョンは、一九七六年十一月二十三日、正式に標準方式として採用され、DES(Data Encryption Standard)と命名された。それから四分の一世紀が過ぎた現在も、DESはアメリカの公式な標準方式で
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@1169
一九四四年生まれのディフィーは、子供時代をニューヨーク市クイーンズで過ごした。幼くして数学に取り 憑かれたディフィーは、数学関連の本とあれば『合成ゴム組合数表ハンドブック』からG・H・ハーディの『純粋数学教程』まで、手当たり次第に読みあさった。マサチューセッツ工科大学(MIT)でも数学の勉強を続け、一九六五年に卒業してからはコンピューター・セキュリティ関係の仕事を転々とした。そして一九七〇年代に入るころには、政府にも大企業にも雇われていない、当時としてはめずらしい完全なフリーランスのセキュリティ専門家になっていた──それは同時に、どんな権威にもとらわれない暗号作成者になることでもあった。今にして思えば、彼は最初のサイファーパンクだったのだ( 訳注 サイファーパンクとは、人に見られずに親書を送ることは万人の権利であるとの立場から、暗号技術の規制に反対する人たちの
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@1435
ディフィー=ヘルマン=マークルの鍵交換構想として知られるようになるこのアイディアのおかげで、アリスとボブは公衆の面前で話をしながら秘密を確立できるようになった。これほど直感に反する発見は科学史上も 稀 であり、暗号界は暗号化の大原則を書き換えざるをえなくなっ
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@1582
リヴェスト、シャミア、アドルマンの頭文字を取って、ARSではなくRSAと名づけられたこのシステムは、現代の暗号にもっとも大きな影響を与えることに
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@1679
数学者はかれこれ二千年以上ものあいだ素因数分解の近道を見つけ出そうとしては失敗してき
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@1720
英国政府の発表によれば、公開鍵暗号を最初に発明したのは、第二次世界大戦後にブレッチレー・パークの後を継ぐ形でチェルトナムに設立された最高機密機関、英国政府通信本部(GCHQ)だったらしいのだ。ここに語るのは、驚くべき独創性と、 匿名 の英雄たち、そして数十年に及んだ英国政府による 隠蔽 工作の物語で
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@1825
「取りかかってから終わるまでに三十分もかかりませんでした。やっていて楽しかったですね。『やあ、もらった問題が解けちゃったぞ』と思いました」  コックスは自分の発見の重大性がよくわかっていなかった。GCHQの誇る頭脳たちが三年間を費やしたにもかかわらずその問題は解けなかったことも、自分のやったことが暗号における二十世紀最大の快挙だということも知らなかっ
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@2064
ジマーマンはコンピューター科学の知識を生かし、経済性と効率を考えて、普通のパソコンに搭載できる製品を設計しようとした。また彼は、自分の作るRSAのバージョンでは、とくにインターフェースを使いやすいものにしたかった。そうすれば専門家でなくてもRSA暗号を使うことができる。彼はそのプロジェクトを、〝プリティー・グッド・プライバシー(ほぼ完全なプライバシー)〟、略してPGPと呼ん
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@2088
対称IDEA暗号で暗号化されたメッセージと、非対称RSA暗号で暗号化されたIDEA鍵という、二つのものをボブに送るわけである。めんどうな話に聞こえるかもしれないが、この方法の長所は、大量の情報を含むメッセージは対称暗号ですばやく暗号化し、情報量の少ない対称IDEA鍵だけを非対称暗号で暗号化するという点で
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@2115
この逆の手順を考えないのは、そんなことをしてもセキュリティ上は何の役にも立たないからだ。もしもアリスが自分の個人鍵を使ってボブへのメッセージを暗号化したりすれば、アリスの公開鍵は誰にでも使えるのだから、そのメッセージは誰にでも解読されてしまうだろう。ところがこのプロセスは、メッセージを送ってきた人間の本人性を証明するために利用できるのである。なぜなら、アリスの公開鍵を使って復号できるメッセージは、彼女の個人鍵を用いて暗号化されているはずであり、アリスの個人鍵を使えるのはアリス本人だけだから
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@2121
アリスがボブにラブレターを送るには二通りの方法がある。プライバシーを守るためにボブの公開鍵を用いるか、そのラブレターはたしかに自分が書いたものであることを証明するために自分の個人鍵を用いるかだ。しかしこの二つの方法を組み合わせれば、プライバシーと書き手の本人性の両方を保証することができるのである。そんな方法の一つに、次のようなものがある。アリスはまず自分の個人鍵を用いてメッセージを暗号化し、そうして得られた暗号文をボブの公開鍵を用いて暗号化する。アリスのメッセージは、壊れやすい内部シェル(アリスの個人鍵による暗号)に包まれてから、固い外部シェル(ボブの公開鍵による暗号)に包まれるものと考えればいいだろう。この暗号文はボブにしか復号できない。というのも、固いシェルを壊すために必要な個人鍵をもっているのはボブだけだからだ。外部シェルを復号してしまえば、内部シェルはアリスの公開鍵を用いて簡単に壊すことができる。内部シェルはメッセージを保護するためではなく、メッセージの送り手がたしかにアリスであって〝ペテン師〟でないことを証明するためのものなので
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@2150
重大な問題は、一九九一年に上院が提出した犯罪防止一括法案だった。その法案には次の条項が含まれていたのである。「電子通信サービスの提供者および電子通信サービス機器の製造者は、法により適切と認められた場合、音声、データ、および他の通信内容を政府が平文形式で取得できるよう通信システムを設計するものとする」上院は、携帯電話などのデジタル・テクノロジーが発展することにより、法執行当局が盗聴を効果的に行えなくなるのではないかと 懸念 したので
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@2159
PGPは事実上非合法化されてしまうだろうと考えた。当初、PGPを商品化して売り出すつもりだったジマーマンだが、こうなってはのんびりしてはいられない。政府がPGPを禁止するのを指をくわえて待つのではなく、手遅れになる前に万人に配布すべきだとジマーマンは考えた。一九九一年六月、ジマーマンは友人に頼んで、USENET(UNIXシステムのコンピューターを結ぶ国際的ネットワーク)の掲示板にPGPを出してもらった。PGPは単なるソフトウェアにすぎないから、誰でも無料で掲示板からダウンロードできる。こうしてPGPはインターネットに流れ出し
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@2181
政府の調査員二名がジマーマンを訪ねた。調査員は、まず特許侵害に関する取り調べを行った後、武器の非合法輸出という、より重大な罪に関する質問をはじめたのである。アメリカ政府は、ミサイル、迫撃砲、機関銃などとともに、暗号化ソフトを軍需品に指定していた。したがって、国務省の許可なしにPGPを輸出するわけにはいかなかったの
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@2228
東京で地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は、文書の一部をRSAで暗号化していたことが知られている。
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@2253
政府は過去において、罪のない市民を盗聴するためにしばしば権力を 濫用 してきた。リンドン・ジョンソン、リチャード・ニクソンの両大統領は不正な盗聴行為によって有罪となり、ジョン・F・ケネディ大統領は、大統領になったその月のうちに正当性の疑わしい盗聴を行っている。
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@2294
強盗は指紋を残さないように手袋をはめるかもしれないが、合衆国市民は自由に手袋を買うことができる。手袋が手を保護するテクノロジーであるように、暗号はデータを保護するテクノロジーなのだ。手袋がわれわれの手を、切り傷、ひっかき傷、 火傷、凍傷、細菌感染から守ってくれるように、暗号はわれわれのデータを、ハッカー、企業スパイ、ペテン師から守ってくれる。手袋はFBIの指紋分析官を困らせ、暗号はFBIの盗聴を妨害するだろう。暗号と手袋はどちらも安価でどこででも入手できる。実際、ちゃんとした暗号ソフトをダウンロードする費用は、ちゃんとした手袋の値段よりも安いほどなのだ。
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@2314
アメリカのソフトウェア会社は今もなお、強力な暗号をサポートする製品の輸出を許可されていない。そのため、アメリカから外国に輸出されるブラウザは短い鍵しか扱えず、まずまずのセキュリティしか保証できないのである。実際、ロンドン在住のアリスがシカゴの会社から本を買ったとすると、このインターネット商取引の安全性は、ニューヨーク在住のボブが同じ会社から本を買った場合にくらべて、十億分の一の十億分の一の十億分の一も小さいのである。ボブのブラウザは大きな鍵をサポートしているため、ボブの取引きはまず絶対に安全だが、アリスの取引きは、犯罪者がその気になれば解読されてしまうだろう。幸い、アリスのクレジットカード番号を解読するのにかかるコストは、普通のクレジットカード使用限度額をはるかに上まわるため、そんな攻撃をしたところで何の得にもならない。
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@2358
鍵預託という考え方は、政府の外部にはほとんど支持者を得なかったのである。市民的自由の活動家たちは、連邦当局がすべての人の鍵をもっているなどという考え方が気に入らなかった。彼らは暗号鍵を普通の鍵になぞらえて、「政府がすべての家の鍵をもっているとしたらどうなるか?」と問いかけた。
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@2392
公開鍵暗号は、暗号化に用いる公開鍵がたしかに通信したい相手のものかどうかをどうやって確かめるのか、という問題を抱えている
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@2475
アメリカ以外の国に住んでいる人は、PGPのアメリカ版をダウンロードしてはならない。なぜならそれをやると、アメリカの輸出法を犯すことになるからだ。インターナショナル版には輸出制限はない。
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@2514
交信分析(またはトラフィック解析)とは、メッセージの内容は読めなくとも、それを送信したのが誰か、 宛先 は誰かを突き止めるテクニックである。送信者と受信者を突き止めることができれば、内容もそれなりに推測できてしまうのだ。
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@2517
テンペスト技術の目的は、コンピューター・ディスプレーの電子装置から発せられる電磁信号を検出することだ。イヴがアリスの家のそばにバンを駐車し、感度の高いテンペスト装置を使えば、アリスがコンピューターに打ち込む文字を逐一検出することができる。つまり、アリスがメッセージを暗号化する前に、コンピューターに打ち込まれてゆく文字をその場で傍受できてしまうのである。
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@2521
電磁信号が漏れないよう内壁に張りめぐらす 遮蔽 物質を売り出した会社もある。アメリカでは、その遮蔽物質を購入するためには事前に政府の許可を得なければならないが、この事実からうかがえるのは、FBIなどの組織はごく日常的にテンペストによる監視をやっているということだ。
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@2540
スイスの暗号会社クリプトAGはいくつかの製品にバックドアを組み込み、その使用法をアメリカ政府に提供していた。アメリカ政府はそのバックドアを使って、いくつかの国の通信文を読んでいたのである。
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@2738
量子コンピューターはまったく常識に反している。細かいことはしばらく棚上げすると、量子コンピューターについてはあなたのお好み次第で二通りの解釈ができる。一つの解釈は、「量子コンピューターは、 128 個の数に対して同じ計算を同時に遂行する単一の実体である」というもの。もう一つの解釈は、「量子コンピューターは 128 個の実体であり、それぞれが別の宇宙の中で一つの計算を行う」
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@3100
システムに絶対的な信頼を置くあまり、実際に装置を作ろうとすらしなかったのである。ベネットはかつてこう語ったことがある。「北極がそこにあるとはっきりしているなら、わざわざ行ってみるまでもないだろう」
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