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Author:ユヴァル・ノア・ハラリ、柴田裕之

Title:サピエンス全史 上下合本版 文明の構造と人類の幸福

Date:水曜日 12月 5, 2018, 147 highlights

@122
ビッグバン」によって、物質、エネルギー、時間、空間が誕生し
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@124
物質とエネルギーは、この世に現れてから三〇万年ほど後に融合し始め、原子と呼ばれる複雑な構造体を成し、やがてその原子が結合して分子ができ
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@170
私たちは自分たちが唯一の人類だとばかり思って
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@185
アジアのもっと東側に住んでいたのがホモ・エレクトス(「直立したヒト」の意)で、そこで二〇〇万年近く生き延びた。これほど長く存在した人類種は他になく、この記録は私たちの種にさえ破れそうに
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@187
ホモ・サピエンスは今から一〇〇〇年後にまだ生きているかどうかすら怪しい
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@529
虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけではなく、 集団で そうできるようになった。
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@621
プジョーは私たちの集合的想像の生み出した虚構だ。法律家はこれを「法的虚構(法的擬制)」と
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@686
魔術師のうちにはペテン師もいるが、ほとんどは神や魔物の存在を本気で信じている。百万長者の大半は、お金や有限責任会社の存在を信じている。人権擁護運動家の大多数が、人権の存在を本当に信じている。
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@690
認知革命以降ずっと二重の現実の中に暮らしてきた。一方には、川や木やライオンといった客観的現実が存在し、もう一方には、神や国民や法人といった想像上の現実が存在
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@723
カトリックのアルファオス
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@792
私たちとチンパンジーとの真の違いは、多数の個体や家族、集団を結びつける神話という接着剤だ。この接着剤こそが、私たちを万物の支配者に仕立てたの
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@840
DNAは私たちが依然としてサバンナにいると思っている。
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@848
動物、とくに私たちに最も近い親戚であるチンパンジーとボノボの間で、詳細に記録されている。現代の人類の文化でも、たとえばベネズエラの先住民バリ族のもののように、集団的父権制が取られているものは多い。
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@887
狩猟採集民は毎月、あるいは毎週、ときによっては毎日、持ち物をすべて背負って移動した。
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@1013
今日、豊かな社会の人は、毎週平均して四〇~四五時間働き、発展途上国の人々は毎週六〇時間、あるいは八〇時間も働くのに対して、今日、カラハリ砂漠のような最も苛酷な生息環境で暮らす狩猟採集民でも、平均すると週に三五~四五時間しか働かない。
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@1029
古代の狩猟採集民は子孫の農耕民よりも、飢えたり栄養不良になったりすることが少なく、一般に背が高くて健康だったことがわかる。
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@1054
健康に良く多様な食物、比較的短い労働時間、感染症の少なさを考え合わせた多くの専門家は、農耕以前の狩猟採集社会を「原初の豊かな社会」と定義するに至っ
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@1082
彼らは、今日多くの人が中絶や安楽死を見るのと同じ目で子供や病人、老人の殺害を眺めてい
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@1478
祖先は自然と調和して暮らしていたと主張する環境保護運動家を信じてはならない。産業革命のはるか以前に、ホモ・サピエンスはあらゆる生物のうちで、最も多くの動植物種を絶滅に追い込んだ記録を保持していた。
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@1537
農耕民は狩猟採集民よりも一般に困難で、満足度の低い生活を余儀なくされた。
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@1540
人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた。農業革命は、史上最大の詐欺だった
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@1543
ホモ・サピエンスがそれらを栽培化したのではなく、逆にホモ・サピエンスがそれらに家畜化されたのだ。
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@1691
多くの若い大学卒業生が、がむしゃらに働いてお金を稼ぎ、三五歳になったら退職して本当にやりたいことをやるのだと誓い、忙しい会社できつい仕事に就くことだろう。ところが、三五歳になったころには、多額のローンを抱え、子供たちを学校にやらねばならず、郊外の暮らしには一世帯に少なくとも二台の自動車が必要で、本当に良いワインと国外での高価なバカンス抜きでは人生は送り甲斐がないという感覚につきまとわれている。彼らはいったいどうしたらいいのか? 植物の根を掘り返す生活に戻るのか? とんでもない。彼らはなおさら一生懸命取り組み、あくせく働くの
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@1696
歴史の数少ない鉄則の一つに、贅沢品は必需品となり、新たな義務を生じさせる、というものが
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@1844
進化上の成功と個々の苦しみとのこの
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@1921
没収された食糧の余剰が、政治や戦争、芸術、哲学の原動力となっ
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@2022
殺人者は無傷のまま、無実の娘が殺されるというのは、私たちには奇妙に感じられるかもしれないが、ハンムラビとバビロニア人たちには、これは完璧に公正に思えた。
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@2045
現実は平等あるいはヒエラルキーのような、普遍的で永遠の正義の原理に支配されていると想像した。だが、そのような普遍的原理が存在するのは、サピエンスの豊かな想像や、彼らが創作して語り合う神話の中だけなのだ。これらの原理には、何ら客観的な正当性は
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@2083
私たちが特定の秩序を信じるのは、それが客観的に正しいからではなく、それを信じれば効果的に協力して、より良い社会を作り出せるから
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@2090
ハンムラビ法典は神話だと受け容れるのは簡単だが、人権も神話だという言葉は聞きたくない。
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@2181
外国で休暇を過ごしたいという、ありふれた欲望について考えてみよう。この欲望には自然なところも明白なところもまったくない。チンパンジーのアルファオスは、近隣のチンパンジーの集団の縄張りに休暇に出かけるために自分の力を使おうなどとは、絶対考えないだろ
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@2186
今日の人々が外国での休暇にたっぷりお金を注ぎ込むのは、ロマン主義的消費主義の神話を心の底から信奉しているから
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@2187
ロマン主義は、人間としての自分の潜在能力を最大限発揮するには、できるかぎり多くの異なる経験をしなくてはならない、と私たちに
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@2197
ロマン主義は多様性を奨励するので、消費主義と完璧に嚙み合う。両者が融合して、無限の「市場経験」が誕生し、その上に現代の観光産業が打ち立てられ
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@2206
古代エジプトのエリート層同様、たいていの文化のたいていの人は、人生をピラミッドの建設に捧げる。ただし、そうしたピラミッドの名前や形、大きさは文化によって
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@2242
既存の想像上の秩序を変えるためには、まず、それに代わる想像上の秩序を信じなくてはならないの
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@2246
想像上の秩序から逃れる方法はない。監獄の壁を打ち壊して自由に向かって脱出したとき、じつは私たちはより大きな監獄の、より広大な運動場に走り込んでいるわけ
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@2530
人は、自分の社会的ヒエラルキーは自然で公正だが、他の社会のヒエラルキーは誤った基準や滑稽な基準に基づいていると主張
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@2537
不幸なことに、複雑な人間社会には想像上のヒエラルキーと不正な差別が必要なよう
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@2570
ヒエラルキーは偶然の歴史的事情に端を発し、さまざまな集団の既得権がそのヒエラルキーに基づいて発達する
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@2630
奴隷制はアメリカ大陸全土で徐々に非合法化された。これは特筆に値するが、奴隷所有社会が自主的に奴隷制を廃止したのは、このときが歴史を通じて最初で唯一の例だ。
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@2651
偏見はますます定着していったのだ。めぼしい職はすべて白人が占めていたので、黒人は本当に劣っていると信じやすくなったからだ。
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@2680
不正な差別は時が流れるうちに、改善されるどころか悪化することが多い。お金はお金のある人の所に行き、貧困は貧困を招く。教育が教育を呼び、無知は無知を誘う。いったん歴史の犠牲になった人々は、再び犠牲にされやすい。逆に、歴史に優遇された人々は、再び優遇されやすい。
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@2704
多くの社会では、女性は男性(父親か夫か兄弟の場合が最も多かった)の財産にすぎなかった。強姦は多くの法制度では、財産侵害に該当した。つまり、被害者は強姦された女性ではなく、その女性を所有している男性だった。
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@2716
二〇〇六年現在で、夫が妻を強姦しても起訴できない国が依然として五三か国もあった。
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@2736
文化的偏見ではなく生物学的現実と見なしている。二人の異性間の関係は自然で、二人の同性間の関係は不自然だというのだ。だが実際には、母なる自然は男性どうしが性的に惹かれ合っても気にしたりはし
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@2745
生物学的に決まっているものと、生物学的な神話を使って人々がたんに正当化しようとしているだけのものとを、私たちはどうすれば区別できるだろう
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@2751
文化は、不自然なことだけを禁じると主張する傾向にある。だが生物学の視点に立つと、不自然なものなどない。可能なことは何であれ、そもそも自然でもあるの
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@2838
何か普遍的な生物学的理由があって、そのせいでほぼすべての文化で男らしさのほうが女らしさよりも重んじられた可能性のほうがはるかに高い。その理由が何なのかは、私たちにはわからない。説は山ほどあるが、なるほどと思わせるようなものは一つもない。
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@2845
に、「男性のほうが女性よりも強い」という主張は、平均した場合にしか成り立たず、また、特定の種類の強さにしか当てはまらない。一般に、女性のほうが男性よりも飢えや病気、疲労に強い。
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@2851
人間の場合、体力と社会的権力はまったく比例しない。二〇代の人のほうが六〇代の人よりもずっと強壮
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@2861
人類の歴史からは、身体的能力と社会的権力が反比例する場合が多いことが
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@2863
身体的能力だけが重要なら、サピエンスはこの連鎖の中ほどに位置していただろう。だがサピエンスは、精神的技能や社会的技能のおかげで頂点に上り詰めた。したがって、さまざまな種の間の力の連鎖も、暴力ではなく精神的能力と社会的能力で決まるのが当然だ。
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@2967
秩序はどれも、内部の矛盾に満ちあふれている。
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@3000
中世の文化が騎士道とキリスト教との折り合いをつけられなかったのとちょうど同じように、現代の世界は、自由と平等との折り合いをつけられずにいる。だが、これは欠陥ではない。このような矛盾はあらゆる人間文化につきものの、不可分の要素なの
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@3269
貨幣は物質的現実ではなく、心理的概念なのだ。
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@3406
貨幣がコミュニティや宗教、国家というダムを崩すにつれ、世界は一つの大きい、非常に無慈悲な市場になる危険がある。
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@4118
一五〇〇年間に、キリスト教徒は愛と思いやりを説くこの宗教のわずかに異なる解釈を守るために、同じキリスト教徒を何百万人も殺害した。
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@4242
人類には矛盾しているものを信じる素晴らしい才能がある。
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@4257
平均的なキリスト教徒は一神教の絶対神を信じているが、二元論的な悪魔や、多神論的な聖人たち、アニミズム的な死者の霊も信じている。このように異なるばかりか矛盾さえする考え方を同時に公然と是認し、さまざまな起源の儀式や慣行を組み合わせることを、宗教学者たちは混合主義と呼んでいる。
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@4346
自由主義や共産主義、資本主義、国民主義、ナチズムといった、自然法則の新宗教が多数台頭してきた。これらの主義は宗教と呼ばれることを好まず、自らをイデオロギーと称する。
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@4478
人体内部の働きを研究する科学者たちは、そこに魂は発見できなかった。彼らはしだいに、人間の行動は自由意思ではなくホルモンや遺伝子、シナプスで決まると主張するようになっている──チンパンジーやオオカミ、アリの行動を決めるのと同じ力で決まる、
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@4549
歴史はいわゆる「二次」のカオス系なの
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@4550
一次のカオス系は、それについての予想に反応しない。たとえば天気は、一次のカオス
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@4553
市場は二次のカオス系
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@4572
なぜ歴史を研究するのか? 物理学や経済学とは違い、歴史は正確な予想をするための手段ではない。歴史を研究するのは、未来を知るためではなく、視野を拡げ、現在の私たちの状況は自然なものでも必然的なものでもなく、したがって私たちの前には、想像しているよりもずっと多くの可能性があることを理解するためなの
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@4579
歴史の選択は人間の利益のためになされるわけではない、ということだ。歴史が歩を進めるにつれて、人類の境遇が必然的に改善されるという証拠はまったくない。人間に有益な文化は何があっても成功して広まり、それほど有益でない文化は消えるという証拠もない。
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@4590
文化は一種の精神的感染症あるいは寄生体で、人間は図らずもその宿主になっていると見る学者がしだいに増えて
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@4601
この考え方は、ミーム学と呼ばれることが
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@4602
文化の進化も「ミーム」と呼ばれる文化的情報単位の複製に基づいているという前提に立つ(
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@4665
一六世紀になるまでは、地球を一周した人間は一人もいなかった。
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@4764
私たちはすべてを知ってはいないし、今持っている知識でさえ仮のものでしかないという、現在の私たちの仮定は、厖大な数の見ず知らずの人どうしが効果的に協力することを可能にしている共有の神話にさえも及ぶ。これらの神話の多くが疑わしいことを示す証拠が出てきたら、私たちはどうやって社会のまとまりを保てるのか?
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@4772
科学を締め出し、 非科学的な絶対的真理 に即して生きる。
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@4773
この主義は、人間には特有の価値と権利があるという独断的信念に基づいて構築されている。その信念は、ホモ・サピエンスについての科学研究の成果とは、呆れるほど共通点が少ない。
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@4882
た。「知識」の真価は、それが正しいかどうかではなく、私たちに力を与えてくれるかどうかで決まる。科学者は普通、どんな理論も一〇〇パーセント正しいことはないと考えている。したがって、正しいかどうかは知識の真価を問う基準としてははなはだ不適切だ。真の価値は有用性にある。新しいことを可能にしてくれる理論こそが知識なのだ。
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@4887
科学とテクノロジーの間に結ばれた絆は非常に強固なので、今日の人は両者を混同することが
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@4890
じつは、科学とテクノロジーの関係は、ごく最近の現象
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@4900
あちらこちらで人々は新しいテクノロジーを開発したが、それは通常、学者が体系的な科学研究を行なうのではなく、無学な職人が試行錯誤を繰り返すことで生み出したものだっ
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@5054
野戦病院では壊疽を恐れて、軽い傷を負っただけの兵士の手足を軍医が切り落とすのは日常茶飯事だった。
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@5057
クロロホルムの登場前は、傷ついた手足を医師が鋸で切断する間、その負傷兵を仲間の兵士が四人がかりで押さえつけていなければならなかった。一八一五年のワーテルローの戦いの翌朝、野戦病院の脇には、切り落とされた手足の山がいくつも見られた。
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@5099
遺伝子工学者は最近、線虫のカエノラブディティス・エレガンスの平均寿命を倍に延ばすことに成功した( 12)。ホモ・サピエンスについても、同じことができるだろうか?
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@5104
真剣な学者のなかには、人間の一部が二〇五〇年までに「 非死」(「 不死」ではない。なぜなら、依然として事故で死にうるからだ。「非死」とは、致命的な外傷がないかぎり、無限に寿命を延ばせることを意味する)になると言う人も少数ながらいる。
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@5803
もしこれを詐欺と呼ぶなら、現代の経済全体が詐欺ということになってしまう。現実には、これは詐欺というより、人間の驚くべき想像力の賜物
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@5826
この制度では、人々は想像上の財、つまり現在はまだ存在していない財を特別な種類のお金に換えることに同意し、それを「 信用」と呼ぶようになっ
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@5828
信用という考え方は、私たちの将来の資力が現在の資力とは比べ物にならないほど豊かになるという想定の上に成り立って
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@5834
あまり信用供与を行なおうとしなかった点にある。なぜなら彼らには、将来が現在よりも良くなるとはとうてい信じられなかったから
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@5843
多くの文化で、大金を稼ぐことが罪悪と見なされたのも、そのため
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@5886
自分の利益を増やしたいと願う人間の利己的な衝動が全体の豊かさの基本になるというスミスの主張は、じつは人類史上屈指の画期的な思想なの
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@5911
資本主義は「資本」をたんなる「富」と区別する。資本を構成するのは、生産に投資されるお金や財や資源だ。一方、富は地中に埋まっているか、非生産的な活動に浪費される。
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@5942
資本主義は、しだいにたんなる経済学説をはるかに超える存在になっていった。今や一つの倫理体系であり、どう振る舞うべきか、どう子供を教育するべきか、果てはどう考えるべきかさえ示す一連の教えまでもが、資本主義に含ま
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@5955
経済成長は永久に続くという資本主義の信念は、この宇宙に関して私たちが持つほぼすべての知識と矛盾する。獲物となるヒツジの供給が無限に増え続けると信じているオオカミの群れがあったとしたら、愚かとしか言いようが
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@5962
政府と中央銀行は何兆ものドル、ユーロ、円を何もないところから生み出し、薄っぺらな信用を金融システムに注ぎ込みながら、バブルが弾ける前に、科学者や技術者やエンジニアが何かとんでもなく大きな成果を生み出してのけることを願っている。
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@6097
近代前期にあっては、民間の会社が兵士だけでなく将軍や提督、大砲や艦船を雇ったり借り上げたり、さらには既成の軍隊をまるごと雇用したりするのも、よくあることだっ
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@6102
今日、二一世紀の企業はあまりに強い力を蓄えているという警告の声が上がって
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@6222
自由市場を信じるのも極端になると、サンタクロースを信じるのに負けず劣らず、無邪気過ぎると言わざるをえ
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@6224
市場は、詐欺、盗難、暴力から自力で身を守れ
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@6273
キリスト教やナチズムなど、一部の宗教は、炎のような憎しみから大量虐殺を行なった。資本主義は、強欲と合体した冷淡な無関心から厖大な数の人間を死に至らしめた。
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@6302
二〇一四年の経済のパイは、一五〇〇年のものよりはるかに大きいが、その分配はあまりに不公平で、アフリカの農民やインドネシアの労働者が一日身を粉にして働いても、手にする食料は五〇〇年前の祖先よりも少ない。農業革命とまったく同じように、近代経済の成長も大がかりな詐欺だった、ということになりかねない。
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@6307
資本主義は、資本主義者にしか動かすことのできない世界を生み出した、というものだ。世界を違う方法で動かそうとする唯一の真剣な試みである共産主義は、考えられるかぎり、ほとんどどの面でもはるかに劣るので、誰も再び試そうという気になら
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@6326
過去数世紀の間に人類のエネルギーと原材料の使用量は爆発的に増えたとはいえ、私たちが使用できる量はじつは 増加した。
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@6329
既存の資源のより効率的な利用法だけなく、まったく新しい種類のエネルギーと原材料が見つかった。
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@6420
私たちは数十年ごとに新しいエネルギー源を発見するので、私たちが使えるエネルギーの総量は増える一方なのだ。
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@6424
地球上の化石燃料に蓄えられているエネルギーの量は、太陽が毎日無料で与えてくれるエネルギーの量に比べれば、微々たるものにすぎ
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@6431
人間の活動と産業をすべて合わせても、消費するエネルギーは毎年約五〇〇エクサジュールで、これは地球が太陽からわずか九〇分で受け取るエネルギーの量でしかない(
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@6448
皇帝ナポレオン三世は、最も高貴な客たちをもてなすときのために、アルミニウムのナイフやフォークなどを作らせた。そこまで身分の高くない客たちは、金のナイフやフォークで我慢しなければならなかっ
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@6479
動植物さえもが機械化され
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@6496
多くの乳牛は狭い囲いの中で、定められた生涯のほぼ全期間を、自分の排泄物の中で立ったり、座ったり、寝たりしながら
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@6498
そこに存在するのは、乳牛というより、原材料を取り込む口と、商品を生み出す乳房でしか
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@6502
大西洋奴隷貿易がアフリカ人に対する憎しみに端を発したわけではないのとちょうど同じで、今日の畜産業も悪意に動機づけられてはいない。これもまた、無関心が原動力なの
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@6504
生産したり消費したりする人の大半は、自分が飲食しているもののもとであるニワトリや牛やブタの運命について、立ち止まって考えることは稀
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@6507
科学の諸分野が最近、哺乳類や鳥類には複雑な感覚構造と感情構造があることを、合理的な疑いを差し挟む余地がないほどまで立証した。彼らは身体的苦痛を感じるだけでなく、感情的苦痛も被りうるの
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@6542
合計すると何百億もの家畜が機械化された製造ラインの一部と化して暮らしており、毎年そのうち約五〇〇億が殺さ
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@6555
人類史上初めて、供給が需要を追い越し始めた。そして、まったく新しい問題が生じた。いったい誰がこれほど多くのものを買う
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@6561
歴史を通じて、ほとんどの人は欠乏状態で生きてきた。したがって、倹約こそが彼らのモットーだっ
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@6579
消費主義は通俗心理学(「 やるしかない!」〔訳註 ナイキのキャッチフレーズ〕)の助けを借りて、懸命に人々を説得し、欲望の満足は自分にとって良いことであるのに対して、倹約は自己虐待だと思い込ませようとし
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@6593
アメリカ人は毎年、世界の他の地域の飢えた人全員を養うのに必要とされる以上の金額をダイエット食品に費やす。
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@6600
豊かな人々は細心の注意を払って資産や投資を管理しているのに対して、裕福ではない人々は本当は必要のない自動車やテレビを買って借金に
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@6601
資本主義と消費主義の価値体系は、表裏一体であり、二つの戒律が合わさったものだ。富める者の至高の戒律は、「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」
—-

@6720
最も重大な社会変革と比べると、影が薄くなる。その社会変革とは、家族と地域コミュニティの崩壊および、それに取って代わる国家と市場の台頭
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@6795
ロマン主義の文学ではよく、国家や市場との戦いに囚われた者として個人が描かれる。だが、その姿は真実とはかけ離れている。国家と市場は、個人の生みの親であり、この親のおかげで個人は生きていけるのだ。
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@6893
マドンナのファンは、一つの消費者部族を形成している。彼らは主に消費行動によって自分を定義する。マドンナのコンサートチケットやCD、ポスター、Tシャツ、携帯電話の着信メロディを購入し、それらによって自分が何者であるのかを定義する。マンチェスター・ユナイテッドのファンも、ベジタリアンも、環境保護論者も、消費者部族だ。彼らもまた、何よりもまず、消費するものによって定義される。それこそが、彼らのアイデンティティの要なの
—-

@7224
富が実際に幸福をもたらすことだ。だがそれは、一定の水準までで、そこを超えると富はほとんど意味を持たなくなる。
—-

@7244
家族やコミュニティは、富や健康よりも幸福感に大きな影響を及ぼすよう
—-

@7247
結婚生活はとりわけ重要だ。良好な結婚生活と高い主観的厚生、そして劣悪な結婚生活と不幸の間に、きわめて密接な相関関係があることは、研究によって繰り返し示されて
—-

@7249
貧しい上に病に 臥せっていても、愛情深い配偶者や献身的な家族、温かいコミュニティに恵まれた人は、その貧しさの程度があまりにひどかったり、病が悪化する一方だったり、痛みが強かったりするのでなければ、孤独な億万長者よりも幸せだろ
—-

@7258
幸福は客観的な条件、すなわち富や健康、さらにはコミュニティにさえも、それほど左右されないということだ。幸福はむしろ、客観的条件と主観的な期待との相関関係によって
—-

@7267
持てるものに満足するほうが、欲しいものをより多く手に入れるよりもはるかに重要なことを見抜いてい
—-

@7303
だとすれば、不老不死さえ不満につながるかもしれ
—-

@7306
新たな奇跡の治療法を受ける余裕のない人々、つまり人類の大部分は、怒りに我を忘れるだろう。歴史上つねに、貧しい人や迫害された人は、少なくとも死だけは平等だ、金持ちも権力者もみな死ぬのだと考えて、自らを慰めてきた。貧しい者は、自分は死を免れないのに、金持ちは永遠に若くて、美しいままでいられるという考えには、とうてい納得できないだろ
—-

@7323
宝くじに当選したり、家を買ったり、昇進したり、真実の愛を見つけたりしたとしても、幸せになれる人は誰一人いない。人間を幸せにするのは、ある一つの要因、しかもたった一つの要因だけであり、それは体内に生じる快感
—-

@7358
既婚者は概して独身者よりも幸せだといったような、これまでに述べた心理学的知見や社会学的知見とを、どう考え合わせれば矛盾しないで済むだろう?
—-

@7360
既婚者が独身者や離婚した人たちよりも幸せであるのは事実だが、それは必ずしも結婚が幸福をもたらすことを意味しない。幸せだからこそ、結婚できたのかもしれ
—-

@7374
幸福に対する生物学的なアプローチを認めると、歴史にはさほど重要性がないことに
—-

@7380
壁の小屋やペントハウス、シャンゼリゼ通りが私たちの気分を本当に決めることはない。セロトニンが決めるの
—-

@7423
養育にまつわる労働を例に取ろう。カーネマンの研究から、喜びを感じるときと単調な苦役だと感じるときを数え上げてみると、子育ては相当に不快な仕事であることが判明した。労働の大半は、おむつを替えたり、食器を洗ったり、癇癪を宥めたりすることが占めており、そのようなことを好んでやる人などいない。だが大多数の親は、子供こそ自分の幸福の一番の源泉であると断言
—-

@7428
幸福とは不快な時間を快い時間が上回ることではないのを立証して
—-

@7437
人生を分刻みで逐一査定すれば、中世の人々はたしかに悲惨な状況にあった。ところが、死後には永遠の至福が訪れると信じていたのならば、彼らは信仰を持たない現代人よりもずっと大きな意義と価値を、自らの人生に見出していただろ
—-

@7442
では、中世の祖先たちは、死後の世界についての集団的妄想の中に人生の意味を見出していたおかげで、幸せだったのだろうか? まさにそのとおり
—-

@7448
したがって、人々が自分の人生に認める意義は、 いかなるものも たんなる妄想にすぎない。中世の人々が人生に見出した死後の世界における意義も妄想であり、現代人が人生に見出す人間至上主義的意義や、国民主義的意義、資本主義的意義もまた妄想だ。人類の知識量を増大させる自分の人生には意義があると言う科学者も、祖国を守るために戦う自分の人生には意義があると断言する兵士も、新たに会社を設立することに人生の意義を見出す起業家も、聖書を読んだり、十字軍に参加したり、新たな大聖堂を建造したりすることに人生の意義を見つけていた中世の人々に劣らず、妄想に取り憑かれているの
—-

@7482
神に祈りを捧げるよりも、セックスをするほうがいいと答えるだろうということを、聖パウロと聖アウグスティヌスはじつによく承知していた。それでは、セックスこそが幸せを手に入れるためのカギであると言えるだろうか? 聖パウロと聖アウグスティヌスは、そうは考えなかった。これはたんに、人間は生まれながらにして罪深く、簡単に悪魔に誘惑されうることを証明しているにすぎない。キリスト教の立場からすれば、大多数の人間は、程度の差こそあれ、ヘロイン中毒者と同じ状況に
—-

@7497
仏教はおそらく、人間の奉じる他のどんな信条と比べても、幸福の問題を重要視していると考えられる。二五〇〇年にわたって、仏教は幸福の本質と根源について、体系的に研究してきた。科学界で仏教哲学とその瞑想の実践の双方に関心が高まっている理由もそこに
—-

@7526
一生喜びの感情を追求するというのは、何十年も浜辺に立ち、「良い」波を腕に抱きかかえて崩れないようにしつつ、「悪い」波を押し返して近づけまいと奮闘するのに等しい。来る日も来る日も、人は浜辺に立ち、狂ったようにこの不毛な行ないを繰り返す。だがついに、砂の上に腰を下ろし、波が好きなように寄せては返すのに
—-

@7530
仏教の洞察に初めて接した西洋のニューエイジ運動は、それを自由主義の文脈に置き換え、その内容を一転させてしまっ
—-

@7656
線虫の平均寿命を六倍に延ばしてのけただけでなく、格段に進歩した記憶力と学習技能を示す天才マウスも遺伝子工学で創り出し
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@7824
保険会社は私たちのDNAのスキャンを求め、無謀な行動をする遺伝的傾向が見つかれば、料金を値上げする権利があるのだろうか? 就職を希望するときには雇用主に履歴書ではなくDNAをファックスすることを求められるのだろう
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@7936
人間には数々の驚くべきことができるものの、私たちは自分の目的が不確かなままで、相変わらず不満に見える。カヌーからガレー船、蒸気船、スペースシャトルへと進歩してきたが、どこへ向かっているのかは誰にもわからない。私たちはかつてなかったほど強力だが、それほどの力を何に使えばいいかは、ほとんど見当もつか
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@7942
自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろう
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