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Author:クリストファー・スタイナー、永峯 涼

Title:アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書)

Date:水曜日 1月 9, 2019, 76 highlights

@33
売り手Aのアルゴリズムは、自分たちの提示価格を競争相手の価格より少しだけ高く提示するようプログラムされていた。一方で売り手B側のアルゴリズムは、自分たちより高い値段をつけている売り手に合わせて、自分たちも値上げをするプログラムになっていた。こうしてたがいのアルゴリズムが価格上昇を呼び合い、本がマンハッタンのペントハウス並みの値段になるまで続いたというわけだ。
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@97
ひとつだけ分かっていることは、アルゴリズムの存在がなければ、マーケットはこれほど速く、これほど激しく乱高下することはなかった
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@130
今ではこれらクオンツやプログラマーたちは、他業界の弱点を見つけ出してそこに営業をかけ、アルゴリズムを使って古い体制や手法を消滅させ、巨額の報酬を得るというビジネスをはじめている。
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@210
革新的なアルゴリズムを作り上げるのは簡単なことではない。しかし、その難易度は日々下がってきている。そのため、ボットを作り出す能力がある人たち──数学的・科学的・ハッカー的なマインドを持った人たち──はより見込みある将来を探し求めている。
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@611
世の中のあらゆる事象は二者択一の選択肢にまで分解できる」
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@716
ブラック=ショールズ理論は七年も前に発表されていたにもかかわらず、ピーターフィーたちのようなトレーディング手法と競合しようという者はそれほど多くはなかった。
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@763
ピーターフィーは、ペンチ片手にクオトロン端末に向き合った。それはのちにナスダックのハッキングにつながっていくことになる最初の試みだった。「こうして我々はデータを失敬することになった」。
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@1076
ゴールドマンをはじめとするウォールストリートのプレイヤーたちはクオンツ部門を強化するために理数系の人材を求めるが、インタラクティブ・ブローカーズでは、「エンジニアが会社そのもの」なのだ──この点、商品を作るのも重要な決定事項を検討するのもすべてエンジニアが行っているGoogle社のウォールストリート版のよう
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@1108
ダウ・ジョーンズとブルームバーグでは、トレーディング・ボット専用のニュース配信サービスを行っている。
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@1122
ナスダックからNYSEに至るまで、全米の取引所の一日の総取引量の四十%が、金融業界の人間ですら聞いたこともないような中西部の企業二社によるものだった、
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@1140
マーケットを動かしているアルゴリズムの多くは、ランダムネスを再現するように作られている。ランダムなものはつかまえることも、対策を練ることも、乗っ取ることもできないからだ。
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@1193
いまだかつてないほど大勢の人間が数学を理解し、議論や研究を通じて数学への理解を深めている。それが実際行われている場を見たければ、今では世界で最も影響力のあるウェブサイトに成長した、Yコンビネータの ハッカー・ニュース・メッセージボード(* 10) を開いてみることだ。  このサイトではハッカー、数学の専門家、起業家、ウォールストリートのプログラマー、その他ウェブ関連の情報に通じた人々が集まって、ありとあらゆるテーマについて意見交換している。
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@1411
正規分布のみのアルゴリズムを書くほうが、ファット・テールの条件を入れて書くよりもやさしい。そして人間の行動は「正規」とは程遠いことを歴史が繰り返し示しているにもかかわらず、多くのプログラマーは正規分布のみで説明されるアルゴリズムを作るほうを選ぶ。
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@1542
グラフ理論はまた、Facebookでネットワークを広げようとしている人にはとても便利なものだ。グラフのなかのどのノード(人物) が最も多くのエッジ(友だち) を持っているか、どのエッジが多くの絵文字やコメントを書き込んでいるかを分析することで、誰が影響力のある人物なのかを割り出すことができるからだ。Facebookのエンジニアに応募する人たちは、面接でグラフ理論について質問されることもしばしばらしい。
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@1546
オイラーは七十六歳まで生きたが、その論文は死後百年近くが過ぎるまで次々と発表された。彼が書いたものは、本、記事、参考書、技術マニュアルまで含めると八百八十六にもおよび、生前に全ヨーロッパで出版されていた数学書の三分の一にもおよぶ。彼は数学の数多くの分野でその道筋をつけたが、それらすべてに彼の名前をつけるとおびただしい数になってしまうため、多くの定理や方程式は、オイラーの次にそれを発見・応用した人物の名前に なっている(*
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@1895
ワープロが初めて市場に出たときと似ているかもしれない。当初、大半の人々はなおもタイプライターを打ち続け、早々にワープロを取り入れた人たちは画面の小ささや、印刷した字がにじんだりかすれたりすることに戸惑い、作業結果が紙ではなく五インチのフロッピーディスクに保存されることに不安を覚えたりもした。しかし、次第に、画面はどんどん大きくなり、ソフトウェアは改善され、これ以外のものを使うのは馬鹿げたことだと思われるまでになった。
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@1914
こんな疑問も生じる。アルゴリズムは、音楽業界に豊かなバリエーションをもたらすというよりも、強引な均質化を強いているのではないだろうか?  トップ 40 に入っているヒット曲の多くが同じ人間によって書かれているというのは、いまや現実のものとなっている。たとえば、スウェーデン人ソングライターのマーティン・サンドバーグは、マックス・マーティンの名前でプロ活動をしており、一九九〇年代からボン・ジョヴィ、バックストリート・ボーイズ、ブリトニー・スピアーズのために多数のナンバーワンヒットを書いてきた。二〇〇八年以降、さらに十曲のナンバーワンヒットの他、二十曲以上ものトップ 10 シングルを書いた。そのなかには、アッシャーの「DJ・ガット・アス・フォーリン・イン・ラヴ」やケイティ・ペリーの「キス・ア・ガール」 なども含まれている(* 62)。ある特定の人間には大衆受けする音楽を書く才能があること、またマクレディのアルゴリズムはヒットソングの一般的特質を理解していること。それを考えれば、ポピュラーミュージックは、程なくボットによって支配されるのではないかと容易に推測できる。
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@2040
ひょっとしたら、問題はサンプルの量や自分が書いたルールの組み合わせなどではなく、アルゴリズムがルールにきちんと従い過ぎているせいではないのか?
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@2045
今までの曲のパターンや構造が何の前触れもなくリズムを崩し、人間の偉大な作曲家が作るようなきらめきを感じさせてくれるループやランダム機能を書いた。  この作業は、アルゴリズムを使った作曲にとって、DNAの最後のらせん構造ともいえるものだった。こうしてできたプログラムは、リズムや小節、イントロやエンディングをいかに作り出すかを知っていた。
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@2070
この曲の作者は誰なのか──コープなのか、エミーなのか? コープは悩んだが、最終的に、穴を掘ったのは人間であってシャベルではない、という結論に達した。
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@2123
コンピュータ・アルゴリズムが作曲した音楽を、そうと知って聴いているときには、人はその音楽で心を動かされたりはするまい、と考える。そして、上手に作られた曲ではあるけれど、かすかな魂のような目に見えない何かが欠けている、と言うのだ。ところが、同じ曲をコープが演奏し、パソコンのプロセッサチップから生まれた曲だと伝えなければ、聴衆は大いに喜び、いかに深く感動したかを語る場合が多い。
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@2142
エミーの事実上の永遠性が、人々の認識にも影響を与えているのではないかとコープは思った。「人間の作曲家はいつか死ぬからね」。死ねばその作品は貴重な存在となり、興味深く重要なものになる。だが、エミーの作品は決して貴重なものとはなりそうもない。エミーは永遠に作曲を続け、いくらでも曲を作ることができるから、「ありがたみがなくなってしまうんだ」。
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@2199
アルゴリズムがクラシック音楽に挑んだときと同じように。「結局のところ、二進法数学が何層も何層も積み重なったものに過ぎないんだ」と
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@2207
創造性こそが、オフィスのキュービクルでデスクワークをする人や、外回りのセールスマンや、表計算を 溺愛 するMBA取得者などの平凡な大衆と自分とを隔てるものだと考えている。コープは指摘する──アーティストであるという優越感の盾は、神秘的な天賦の才ではなく、長い、効率的な方程式にまとめることができるものだと。
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@2570
次はどの分野がボットによって侵略されるか予測するには、次の二つの条件を足してみて判断すれば良い──崩壊の可能性と、その見返りの大きさだ。
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@2602
伝書鳩は何千年も前から、中国やギリシャ、ペルシャやインドなど、世界中で使われてきた通信手段だ。ローマ人は敵の情報交換を阻止するため、伝書鳩を見つけて攻撃するための鷹を飼うようになった。すると相手は、おとりの伝書鳩にニセの情報を持たせて飛ばすようになった─
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@2611
英国勝利の情報を受け取ったロスチャイルドはトレーディングフロアの柱の前にある定位置へと急いだ。取引がはじまると、彼はこれ見よがしに債券を売りはじめた。それを見た他のトレーダーたちは彼が英国が負けたことを知っていると思い込んだ。マーケットは売りが殺到して暴落した(この時点でロスチャイルドだけはもう売るのをやめていた)。これはロスチャイルドの思わく通りだった。売りが売りを呼んでいるさなか、ロスチャイルド配下の者たちが何十人もこっそりと買いに転じたのだ。翌日、英国勝利のニュースが伝わると、ロスチャイルドがひそかに買い集めた債券の価格は急騰し、彼は巨額の利益を 手に入れた(*
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@2646
一年後、その技師がより性能の良いティッカー・マシンを発明し、それは全米の取引所に導入された。技師の名前はトーマス・エジソン。彼の発明したティッカー・マシンは その後六十年間も使い続けられた(* 89)。
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@2693
対戦を「人類の脳の最後の抵抗」と評した。
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@2711
チェスが、盤という限られた空間の上で、厳格なルールに基づいて行われるゲームであるのに比べ、「ジェパディ!」は雑然として気まぐれで、質問の内容や性質に一定の方向性があるわけでもなく、しかもユーモアや 語呂合わせや皮肉が混じっていることもしばしばだった。この質問応答システムを作るため、IBMは二億ページ分のテキストデータを四テラバイト分のディスクに保存し、十六テラバイトのメモリ(RAM) に、二千八百個のプロセッサ・コア(私がこの本を書くのに使っている比較的新しいアップル・コンピュータのプロセッサ・コアは二個) を使って、情報処理を行った。
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@2777
世の中には、数ドルのお金で喜んで他人を乗せようという人もいれば、一人きりの通勤時間を犠牲にして人を乗せるからにはもっと高い料金を払ってほしいと言う人もいた。これは、アルゴリズム上は非合理的であり処理不可能な行動だったのだ。
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@2822
予測不可能な人的要素が大きく関係するため、ポーカーのアルゴリズムはごく一部の有能なプログラマーしか近寄れない分野になっている。
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@2860
Mリゾート・スパのスポーツ・ブックで賭けをしたい人は、タッチスクリーンのタブレットコンピュータを渡される。それを持ってカジノをうろつきながら、試合を中継している何百ものテレビ局の映像を見て賭けをする。Mリゾート・スパでは、事実上何にでも賭けることができる──バッターは次の投球をスイングするか、フットボールの次のプレーはパス不成功になるか、など。オッズは秒刻みで変動する。バスケットの試合で賭けをした人は、毎分八回も変更されるオッズを逐一チェックすることができる。
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@2898
Tambeは、テロ計画を事前に防ぐためのアルゴリズムを、ロサンゼルス国際空港(LAX) のために構築した。これは最も効率的かつランダムな防犯パトロール計画を導き出すアルゴリズムで、テロリストが空港での爆発や混乱を起こすためにどこに目をつけるかを検討し、彼らの思考パターンを予測して、最も効率的なテロ予防方法を決定するシステムだっ
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@2928
CIAは、世界中のそれぞれ異なる地政学的条件における、千七百件の政治的・軍事的予測を彼に依頼した。そして、その後二十年近くもかけて検証した結果、CIAの専門分析官の予測よりも、ゲーム理論アルゴリズムが出した予測のほうが、二倍も正確だった。これはいったい何を意味するのだろう?──FBIやCIAやNSAにおける彼らの役目は終わりつつあるのかもしれない。テレビのコメンテーターへの転身を考えたほうが得策かもしれない。
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@2934
ポーカー・ボットと同じく、ブエノ・デ・メスキータのアルゴリズムはイランのような国が下した政治的決断について、関係者すべての個人的な利害を検討する。
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@2946
諜報部は、「なぜこうなったか」という情報を集めるためだけに 莫大 な金を使う。各関係者の経歴、個人情報、人間関係、現在のポジションに至る経緯などを調べあげるのだ。しかし、ブエノ・デ・メスキータ教授はそんな情報を集めるのは無意味であり、アルゴリズムがそれを証明していると述べている。「部屋に入ってみるとチェスの対戦真っ最中だったとする。チェス盤を見れば、プレイヤーたちが指しそうな手はすぐ分かるでしょう?」と彼は言う。「ここに至るまでどんな手を指してきたかは関係ない──現実世界もそれと同じようなもの
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@2968
教授は、二千人の政治の専門家に対し、いくつかの特定の出来事について、各自の視点に基づいた予想を立ててもらった。それと同時に同じ出来事について、ランダムに抽出された予測を準備した。年月を経てテトロックがまとめた結果は、専門家と呼ばれる人たちをがっかりさせるものだった。人間の専門家が立てた予想と、ランダムに抽出された予想が当たる確率はほぼ同じだった
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@2974
情報分析官の多くは権力者の個人的なバックグラウンドや、その側近とのドラマチックな逸話に焦点を当てがちだ。
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@3027
多くの監督が、戦略上の決定を下すのにコンピュータや難解な統計学を頼るようになっているのだ。多くのチームにとって、もはやどのピッチャーをマウンドに送り込むのかを決めるのは監督の直感などではない。アルゴリズムが決めるの
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@3033
NBAでもまた、こうした手法がさかんに用いられるようになった。
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@3082
今では結婚するカップルの六組に一組が、インターネットの出会いサイトをきっかけに交際を はじめている(*)。
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@3103
OkCupidがサイトから誕生した三千五百組のカップルを分析したところ、おびただしい数の質問のうち、関係が長続きするかどうかに最も影響を与えた質問は「ホラー映画は好きですか?」だった。 「八十年も前から行われてきた恋愛の科学的研究の結果分かったことは、たがいに知り合いではない人たちについての情報を集めても、二人の関係がうまくいくかどうかを予測することはできない、ということだ」とフィン ケルは言う(*)。
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@3157
ドナーが見つからなければ人工透析を受けるかだ(この場合は週に数回、一回当たり四~五時間をかけて、フィルターで血液中の余分な塩素や毒素を排出する)。三つ目の選択肢は死である。現在、慢性腎疾患を抱えるアメリカ人は二千万人以上おり、うち三十五万人が定期的に人工透析を 受けている(*)。アメリカでは年間四百億ドルが人工透析に費やされているにもかかわらず、毎年透析患者の二十%以上が 亡くなって(*) いる。
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@3228
生身の医師による健康診断をやめ、アルゴリズムによる常時モニタリングを導入すると提案した場合にどんな騒ぎが巻き起こるか、想像してみてほしい。ある程度のアルゴリズムが医師に取って代わることは必至であり、それほど恐ろしいことではないはずだ。しかし、健康のこととなると、多くの人の態度はかたくなになってしまう──変化することは悪、変化しないことがいちばんだ、と。
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@3239
体調不良で医者に行くと、たいした症状でなくても、たいていは検査攻めにあうことになる。検査が終わったと思うとまた次の検査。九九・九%必要ないと分かっていても、強制的に検査を受けなければならないのが通例だ。こうした検査を行うことによって、医療費がどんどん増大していく。つまり、資本主義は経済にとって効果的なパラダイムであるが、ヘルスケアにとって効率的な方法であるとはいえない。
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@3243
アメリカ国民の平均寿命(七十八歳) と、国民一人当たりの医療費がアメリカの十%にも満たないキューバ国民の平均寿命がほぼ同じである、という事実を考えてみてほしい。
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@3259
細胞検査技師とアルゴリズムの両方を使って検査を行っている検査機関では、八十六%のがんの症例を発見できたのに対して、アルゴリズムを使用していない機関の発見率は 七十九%(*) だった。
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@3278
どんどん高額になっていくアメリカの医療検査費用を抑える第一歩として実施されたのは、検査結果の診断をインドの熟練した医師たちにアウトソースすることだった。次の(そして最終的な) 解決策は、この仕事をアルゴリズムに引き継ぐことだろう。
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@3423
人類とチンパンジーは進化のどこかの時点で道が分かれていったというのが定説だった。最初は同じ道をたどり、途中で分かれたという説だ。しかし二〇〇六年にパターソンが開発したアルゴリズムによると、人類とチンパンジーは一度分かれた後、数百万年後にもう一度いっしょになって異種交配し、その後永遠に別の道を歩むことになったことが分かった。
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@3437
ほとんどのアルゴリズムには親身な会話というものができないのもまた事実だ。患者の体調や返答のしかた、気分が悪そうにしていたかなどの要素や微妙なニュアンスを考慮しないのだ。しかし、ワトソンをはじめとする次世代の医療アルゴリズムは違う。最新の音声認識力を備え、人間の感情を理解し、さらには顔の表情を読み取るアルゴリズムの発達により、患者が 眉 をひそめたことの意味まで読み取る能力を有している。
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@3474
電話でビジネスの話をした後、その電話はうまくいったのか、そして相手があなたの提案をどう思っているのかまできちんと教えてくれるようなボットがあったらどうなるだろう? セールスの電話はきっとこれまでとは違ったものとなり、悪化した関係は先延ばしすることなく早めに解消され、交渉は単刀直入なものとなることだろう
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@3483
私たちは誰もがボットに観察されたことがあるはずだ。ただ、ほとんどの場合、その場では気づかない。あなたはおそらくこんな言葉を耳にしたことがあるだろう。「この電話は品質改善、または社員トレーニングのために録音、あるいはモニタリングさせていただく場合がございます」
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@3489
ボットはあなたの話を聞き、パーソナリティのタイプを評価し、電話をかけた理由を判断する。話の最中にも、ボットはこうした情報をカスタマーサービスの担当者へ伝えている場合もある。信じられないことに、ボットはあなたの心を見抜こうとする。どうすれば、あなたは最も早く、安く、満足することができるだろうか?
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@3660
システムは、人間を以下の六タイプに分類する(電話での会話を盗聴して相手の性格を分類する修正版のボットも基本的には同じだ)。
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@3704
宇宙飛行士の多くは思考重視型であるが、最も優秀な人は感情重視型および意見重視型の要素もかなり持ち合わせている。
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@3758
年齢を重ねるにつれ、ボキャブラリーは多様化し複雑に増えていくが、我々の話し方──文章の組み立て方──は変わらない。その組み立て方こそが、人がどのようにロジック展開をするか、プレッシャーのなかでどのように行動するかについて、驚くほどたくさんの手がかりを与えてくれる。
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@3771
コンウェイは二〇〇〇年、今なら心を読めるボットを開発できるのではと考えた。
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@3776
米国ではコールセンターで働く従業員は四百万人、就業者数ベースで国内第三位の職種だ。
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@3793
カナダには英語・フランス語の二種類の公用語があるため、一年分で何百万語にも達する議事録を、両方の言語で入手できる。
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@3866
結果は、まさに驚異的というよりほかなかった。顧客がかけた電話が顧客とよく似たパーソナリティの担当者につながった場合、通話は五分程度で済み、九十二%の確率で問題が解決した。これはあらゆる角度から見て高品質なカスタマーサービスだ。一方、正反対のパーソナリティを持つ担当者につながった場合、その差は驚くほど歴然としていた──通話時間は平均十分もかかり、問題解決率はたったの四十七%だったのである。
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@3964
投資銀行、ヘッジファンド、そしてブティック系の高速トレーディング・ハウスという新種の企業が、こぞってエリート大学に群がり、才能ある学生をかっさらっていくのを、テクノロジー業界は指をくわえて見ているしかなかった。
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@3973
一九八八年のテック・クラッシュによって突然 終焉 を迎えた。それ以後、コンピュータ・サイエンスは十年近くもの間、大学では人気のない専攻科目になっていた。
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@4046
AIGは、リーマン・ショック後政府に対し千五百億ドルの公的資金注入による救済を要請することになる──これはニュージーランド、パキスタン、クウェート、ウクライナをはじめとする、世界でも二百以上の国のGDPを 上回る金額(*) だった。
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@4084
個人情報を不正取得するために電話をかけまくるビジネスはロシアや東欧諸国、アイルランドやアフリカの国々に外注されている。
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@4096
顧客の性格が異なれば、セールス方法もまた変えるべきだからだ。たとえば、思考重視型の人には懐柔するような話し方をするべきではない。商品の利点やデータ、買えばいくらお得になるかを理論的に説明して、相手が買ってくれることを祈るのが正しい。一方で行動重視型の人には「今すぐお買い上げで、もう一品サービス!」といった調子で接すると良い。
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@4106
感情重視型の相手は、セールスマンの気さくなおしゃべりに乗せられやすく、家族や友人ともっとつながりやすくなりますよ、という宣伝文句にも乗りやすい。他の性格も、それに応じたセールストークが用意された。結果はというと──成約率が八千六百%もアップしたのだ。
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@4129
ADHD) と診断された子どものうちかなりの数は、単なる行動型の人間であり、そのような特徴に適した環境──人同士の交流や刺激が多く、直接的な指示が受けられる小規模の学校など──を与えられていないだけだという。
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@4143
GoogleのGmailは、同じことを我々の電子メールに対して行い、広告を表示させていることを忘れてはならない。それだけでなく、雇用主は従業員に与えた電子メール・アカウントについては、内容を自由に読み、削除し、転送し、発表する権利が法律で認められていることも、覚えておいて損はない。
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@4147
我々の将来はボットに判定され、指図され、分析されるものになっていく
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@4302
ユーザーがマウスをクリックした箇所、カーソルが脱線した箇所、多くの人が長時間とどまるページのレイアウト。これらはすべて彼の書いたプログラムによってモニタリングされ、ふるい分けられ、分析される。そして最も尾を引く要素だけが残され、後は削除されてゴミ箱行きとなる。
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@4306
SNSの中毒性をよくあらわしているのは、Facebookのロゴ入りの青い注射器といったネットミームだ。
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@4370
従業員以外は誰ひとりとしてアクセスできないルネッサンスのメダリオン・ファンドは、一九九〇年に立ち上げられて以来、三十%以上の運用成績を上げているのは有名な話だ。
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@4459
アルゴリズムは会話を聞いて、誰がその場を仕切っているか、インフルエンサー以外の序列はどうなっているかを見分けることができる。
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@4484
と、そっとしておいたほうが良いことはあるものだ。しかし、社会における我々の上下関係がアルゴリズムによって特定される時代は間違いなく近づいてきている。
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@4543
二〇一二年、アメリカの司法試験合格者が五万四千人いたのに対し、求人が二万六千件しかなかった
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