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Author:マイケル・サンデル、鬼澤 忍

Title:それをお金で買いますか 市場主義の限界

Date:水曜日 7月 18, 2018, 36 highlights

@152
赤の他人の命を対象としたこうした形の賭博は、三〇〇億ドル産業になっている。赤の他人の死が早ければ早いほど、投資家の儲けは多く
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@237
われわれは、市民の義務を私有財産とみなすべきではなく、公的な責任と考えるべきだと信じているから
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@303
われわれは党派的な争いを避けたいがために、市民が公の場に出るときには道徳的・精神的信条を棚上げすべきだと主張しがちだ。だが、よかれと思ってそうしたにもかかわらず、善き生をめぐる議論を政治に取り入れようとしない姿勢が、市場勝利主義と、市場の論理の温存につながったので
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@367
こうした配慮の必要性から次のことがわかる。お金を払っての割り込みは――たとえ遊園地であっても――順番を待つのが公正な行ないだという拭いがたい感情に逆らっているの
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@611
ある財への支払い意志額が、その財を最も高く評価しているのは誰かを示していないこと
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@625
ダフ行為の擁護者はこう不平を言う。行列は「自由時間を最も多く持っている人をえこひいきする」と( 33)。そのとおりである。だがそれは、市場が最もお金を持っている人を「えこひいきする」のと同じ意味にすぎ
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@849
賄賂が反対すべきものであるのは、それが強制的だからではなく、腐敗しているからだ。腐敗とは、売りに出されるべきではない何か(たとえば有利な判決や政治的影響力)を売買することで生じるので
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@862
薬物中毒やHIVに感染している女性を障害のある赤ん坊の製造装置として扱い、手数料を払えばスイッチを切れると思って
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@1032
お金には表現効果があった――よい成績をとることを「クール」にしたの
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@1210
市場は社会規範にその足跡を残す。往々にして、市場的なインセンティブは非市場的なインセンティブを破壊したり締め出したりするの
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@1272
実のところ、罰金と料金の違いは確固たるものではなく、論争の的にさえ
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@1294
が返却期限を過ぎた本を手にこそこそと図書館に戻るとき、後ろめたく感じるのは当然である。  だが、ビデオ店は一つの企業だ。その目的はビデオを貸してお金を儲けることだ。よって、私が映画を長く借り、超過した日数分の料金を払うとすれば、悪い客ではなく良い客だとみなされるべきなの
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@1461
ロンドンに住むある人が配偶者への裏切りに罪悪感を抱いているなら、マンチェスターに住む人にお金を払って誠実でいてもらうことで、罪を「相殺」できるというのだ。この道徳的アナロジーは完全ではない。裏切りに反対すべき唯一の、あるいは主要な理由は、それによって世界の不幸の量が増すことではない。それは特定の人にとって悪であり、ほかの場所での有徳な行為によって埋め合わせられるものではない。
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@1848
要するに、他人がわれわれに、服であれ音楽であれ何かを買ってくれる場合、自分で選んだ場合と同じように気に入るものを選んでくれることは、まずありそうにない。贈り物の主がどれほど善意であろうと、その選択は的外れになるものと予想できる。贈り手の出費がわれわれにもたらせたはずの満足感と比較すると、彼らの選択は価値を破壊しているのだ(
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@1860
われわれは贈り物として受け取る品物の価値を、費やされた一ドルにつき、自分で買う品物より二〇パーセント低く評価する」。
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@1870
贈り物は「シグナリング」の一形態だと説明する。
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@1911
現金が「野暮ったい贈り物」という汚名を着せられている事実にすぎない。ウォルドフォーゲルは、現金の贈り物を野暮ったいと考える人々が正しいのか、間違っているのかは問わない。代わりに、こうした汚名を、効用を減らすという不幸な傾向を別にすれば、規範としての重要性を持たない非理性的な社会学的事実として扱う(
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@1946
特定の店のギフトカードは単純に現金を贈るよりは汚名の度合いが低い。ことによると、ふさわしい店を選ぶことで伝わる心遣いの要素が、少なくともある程度は汚名を晴らしているのかもしれない。
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@2153
インセンティブが累積すると考えるのは間違いだ。反対に、スイスの善良な市民にとっては、個人への金銭支払いが見込まれることによって、市民としての問題が金銭の問題に変質してしまった。市場の規範が侵入したせいで、市民としての義務感が締め出されてしまったのだ。
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@2196
人々のやる気を引き出すために金銭インセンティブを利用するなら、「たっぷり払うかまったく払わないか」のどちらかにすべきだ、
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@2420
利他心、寛容、連帯、市民精神は、使うと減るようなものではない。鍛えることによって発達し、強靱になる筋肉のようなものなのだ。市場主導の社会の欠点の一つは、こうした美徳を衰弱させてしまうことだ。公共生活を再建するために、われわれはもっと精力的に美徳を鍛える必要がある。
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@2449
保険業界の用語で言えば、会社にはCEOに関して法で認められた「被保険利益」がある。しかし、一般社員の命にまで保険をかけるようになったのは比較的最近のことだ。こうした商品は、保険業界では「用務員保険」、あるいは「死んだ農夫保険」と呼ばれている。最近まで、これはほとんどの州で違法だった。
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@2479
二〇〇〇年代初めには、膨大な数の従業員にCOLIがかけられるようになり、生命保険の全契約高の二五~三〇パーセントを占めるまでになった。
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@2608
人の死によって生計を立てているのは、バイアティカル投資家だけではない。検死官、葬儀屋、墓掘り人などもそうだが、彼らを道徳的に非難する者はいない。
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@2678
保険がリスクを軽減する手段であるのに対し、ギャンブルはリスクを招き寄せるものだ。保険は思慮深さを示すが、ギャンブルは投機である。しかし、二つの活動のあいだの境界線は絶えず揺れ動いてきたのである(
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@2683
何世紀にもわたり、生命保険はほとんどのヨーロッパ諸国で禁止されていた。
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@2795
トレーダーは自分の予測に自己資金を賭けなければならないから、大きく賭けようという者は最高の情報の持ち主だと推定できる。先物市場が原油、株、大豆の価格をうまく予測しているのであれば、その予測能力を次回のテロ攻撃の予測に使わない手はないはずだ。
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@2813
市場とは、拡散した情報、さらには隠れた情報をきわめて効率的、効果的、タイムリーに収集するものである。
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@2822
濃縮オレンジジュースの先物市場は、気象局よりも正確にフロリダの天気を予測する(
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@2832
金融の時代とともに現れた市場信仰の新たな教えを明瞭に表現した。いわく、市場は財を生み、割り当てるのに最も効率的な仕組みであるばかりでなく、情報を収集し、未来を予測する最高の方法でもあるのだ。
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@2871
死を扱う市場が普及し、定着すると、道徳的に恥ずべきことという感覚を保ちつづけるのは難しい。
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@2901
生命保険のほぼ四〇パーセントで、結果として死亡保険金が支払われていない。
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@3263
スイートやクラブシートといった特別席は、座席総数に占める割合の低さにもかかわらず、メジャーリーグのチームによっては、チケット収入の四〇パーセント近くを稼ぎ出している。
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@3783
非があるのは学校よりも、むしろわれわれ市民だ。子供たちの教育に必要な公的資金を調達する代わりに、バーガーキングやマウンテンデューに子供たちの時間を売り、心を貸し出すことを選んでいるのである。
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@3801
われわれがときに踏み込むのを恐れる領域だ。われわれは不一致を恐れるあまり、みずからの道徳的・精神的信念を公の場に持ち出すのをためらう。だが、こうした問いに尻込みしたからといって、答えが出ないまま問いが放置されるわけではない。市場がわれわれの代わりに答えを出すだけだ。それが、過去三〇年の教訓である。市場勝利主義の時代は、たまたま、公的言説全体が道徳と精神的実体を欠いた時期と重なった。市場をその持ち場にとどめておくための唯一の頼みの綱は、われわれが尊重する善と社会的慣行の意味について、公の場で率直に熟議することだ。
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@3816
民主主義には完璧な平等が必要なわけではないが、市民が共通の生を分かち合うことが必要なのは間違いない。大事なのは、出自や社会的立場の異なる人たちが日常生活を送りながら出会い、ぶつかり合うことだ。なぜなら、それがたがいに折り合いをつけ、差異を受け入れることを学ぶ方法だし、共通善を尊ぶようになる方法だからだ。
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